【派生クラス】標準コマンドの機能強化（Get-ChildItem）

1. Get-ChildItemコマンドレットのカスタマイズ版

標準の Get-ChildItem コマンドレットの名前を維持し、新たに FilterExtension 引数を追加して特定の拡張子に対するフィルタリングを行う機能を追加します。このカスタマイズ版では、基本的な機能をそのまま保持しつつ、新たな機能を組み込みます。

https://github.com/PowerShell/PowerShell/blob/master/src/Microsoft.PowerShell.Commands.Management/commands/management/GetChildrenCommand.cs

2. プロジェクトフォルダの構成

# プロジェクトフォルダの構成
📂CustomizedGetChildItemApp
┣ 📂Classes
┃ ┣ 📜CustomizedGetChildItemCmdlet.psm1 # Get-ChildItemのカスタマイズ版モジュール
┣ 📂Tests
┃ ┣ 📜CustomizedGetChildItemTests.ps1 # カスタマイズ版のテストスクリプト
┗ 📜App.ps1 # アプリケーションのメインスクリプト

3. CustomizedGetChildItemCmdlet.psm1 のアウトライン

# CustomizedGetChildItemCmdlet.psm1
using namespace System.Management.Automation
using namespace System.IO

# Cmdletのカスタマイズ定義
[Cmdlet(VerbsCommon.Get, "ChildItem", DefaultParameterSetName = "Items")]
Class CustomizedGetChildItem : Microsoft.PowerShell.Commands.GetChildItemCommand
{
    [Parameter(Mandatory = $false, ParameterSetName = "Items")]
    [ValidateNotNullOrEmpty()]
    [string] $FilterExtension

    # Cmdletの処理をオーバーライド
    protected override void ProcessRecord()
    {
        # 基本機能の呼び出し
        base.ProcessRecord();

        # オリジナル引数に基づく追加処理
        if ($this.FilterExtension) {
            $filteredItems = @($this.InputObject) | Where-Object { $_.Extension -eq ".$this.FilterExtension" }
            foreach ($item in $filteredItems) {
                Write-Output $item
            }
        }
    }
}

Export-ModuleMember -Cmdlet CustomizedGetChildItem

このクラスはPowerShellの標準コマンド Get-ChildItem をカスタマイズしたものです。以下、各部分の説明を行います：

名前空間の使用

System.Management.Automation と System.IO は、PowerShellスクリプト内でファイル操作やCmdletの開発に必要な機能を提供するために使用される名前空間です。

クラス定義

[Cmdlet(VerbsCommon.Get, "ChildItem", DefaultParameterSetName = "Items")] この行は、このクラスが Get-ChildItem コマンドレットのカスタマイズ版であることを定義しています。ここで VerbsCommon.Get は操作の種類（取得）、"ChildItem" はコマンド名を指します。
Class CustomizedGetChildItem : Microsoft.PowerShell.Commands.GetChildItemCommand は、CustomizedGetChildItem クラスが GetChildItemCommand クラスを継承していることを示しています。これにより、標準の Get-ChildItem コマンドの機能を拡張または変更できます。

パラメータの定義

[Parameter(Mandatory = $false, ParameterSetName = "Items")] この行で、FilterExtension という名前のパラメータを定義しています。このパラメータは必須ではない（Mandatory = $false）こと、そしてデフォルトのパラメータセット「Items」に属していることが指定されています。
[ValidateNotNullOrEmpty()] は、このパラメータがnullまたは空でないことを保証するためのバリデーション属性です。
[string] $FilterExtension は、FilterExtension パラメータが文字列型であることを示しています。このパラメータを使用して、特定のファイル拡張子にフィルタリングを行います。

メソッドのオーバーライド

protected override void ProcessRecord() このメソッドは、コマンドレットが呼び出されたときに実行される処理を定義しています。override キーワードは、基底クラスのメソッド（ProcessRecord）の動作を変更するために使用されます。
base.ProcessRecord(); は、基底クラスの ProcessRecord メソッドを呼び出して、標準の Get-ChildItem コマンドの処理を実行します。